●アンタエウス

学名:Dorcus Antaeus 生息地:中国 ベトナム インド ネパール ミャンマー タイ ラオス ブータン   寿命:約2年 特徴:産地によって大顎の変異あり

●幼虫飼育

 幼虫飼育はオオクワガタと変わらず、菌糸ビン飼育、材飼育、マット飼育がありますが、現在は菌糸ビン飼育が主流で菌糸ビン飼育について説明します。菌糸ビン飼育では♂平均77oぐらいで80oUPも充分可能です。 飼育方法にもよりますが羽化するまで、生まれてからおおよそ9ヶ月‐14ヶ月(♂),6ヶ月‐12ヶ月(♀),が羽化までの目安です。アンタエウスの幼虫は高温には弱く、温度管理が重要となります。初令‐2令までは22℃‐24℃ぐらいで管理して、3令になると羽化までの時間はかかりますが、少し低めの20℃‐22℃で管理すると良いと思います。初令‐2令まで一気に太らして終令でじっくり時間をかけた方が美形ができる様に思います。 

 幼虫の菌糸ビン投入は2令になってから行います。初令でも問題ないという人もいますが少なからず☆になってしまうことがあります。高価な虫ですので2令まで待たれてはどうでしょう。羽化するまで♂でSビン+Lビン+Lビン+蛹化用Lビン(要らないこともある) ♀でSビン+Mビン+蛹化用Sビン、が目安となります。成熟した(色が黄色茶色)幼虫がビンを上下に移動し始めたら蛹化も間近です。ビンの菌糸があまり残って無い様でしたら思い切ってビン交換をしてください。アンタエウスは特に大型の♂に羽化不全が多くみられます。要因としては羽化時大量の水分を出します。作られた蛹室がビン底だった場合、羽化時すべって起き上がれずかなりの確立で羽化不全となります。せっかく蛹用捨てビンに移しても一目散にビン底に直行し、蛹室を築く困った幼虫もいますのでビン変えしてしばらくは観察せれるのも良いかとおもいます。もし、ビン底にフンを塗り始めたら、すかさずビンを反対返しにしてください。(息ができる様空気孔は確保してください)タイミングが難しいですがかなり有効です。前述したように蛹化間近時はこまめにチェックしてください。又、オオクワガタと比べると蛹室が小さく作られるケースが多く見られ、羽化不全の原因となることもあります。羽化する為の充分なスペースはあるか等確認して、きびしそうでしたら人工蛹室に移すことをお勧めします。羽化した成虫の蛹室の状態が悪い場合、上羽がシワになることがあります。(特に大型の♂)心配でしたら蛹化後5日ぐらいで取り出し人工蛹室に移します。その時の成虫の取り扱いはくれぐれも慎重にお願いします、自信の無い方は止めてください。(☆になっても保証はできません)安全策はすぐにビンから取り出さず、一ヶ月ぐらい身体が固まるまでそっとしておいてください。アンテは温度管理、ビン交換のタイミングさえまちがえなければ、それほど幼虫飼育は難しくありません。使用する菌糸ビンは水分少なめ(羽化不全対策)の物をお勧めします。

 テクニックですが、成虫になるまでの期間が♂♀でタイムラグがある、そこで、幼虫時、♀の成熟を遅らせる為、♀を♂より少し低温で飼育して羽化までの期間を遅らせる様にされるのも、ひとつの方法です。

●成虫飼育 

成虫飼育は国産オオクワガタと比べて高温を嫌います。夏場の温度管理は最高でも27℃以下で飼育してください。28℃もしくはそれ以上ですと☆になってしまうことがあります。30℃はアウトです。ベストは25℃以下です。逆に冬場はそれほど気を使う必要もなく、越冬セットをしていれば室温(最低6℃ぐらい)で大丈夫です。餌(防腐剤の入ってる子供用ゼリーで充分)水分チェックは時々してください。

 活動期、餌は市販されている昆虫ゼリー(廉価なもので充分です)、バナナを与えます。餌切れの無いよう注意してください。産卵前、産卵後の♀は体力を消費する為、バナナ、高蛋白ゼリー、カブトムシの幼虫等を与えます。  羽化した成虫は成虫といえど、まだ人間でいえば子供です。 生殖器がまだ完成されていません。成熟までに約6ヶ月ぐらいかかります。ここは難しい所で個体差があり一概に定義付けできません。♂が成熟していないのにペアリングしますと、無精卵を産卵します。逆に♀が未成熟の場合、交尾を拒否し♂に噛み殺されるという最悪の事態になりかねません。充分に成熟期間を置いてペアリングされることをお勧めします。ペアリングは一週間ぐらい同居させるか、強制交尾させるかが良いと思います。一週間コースは、小ケース程度の容器に先に♂を入れておき(2日前ぐらい)、レイアウトは♀が逃げれる様にしておきます。その後♀を同居させ、しばらく様子を見ます。TITANUS系に比べるとおとなしい性格ですが、本気で♀をかみ殺しそうでしたらすぐ引き離してください。問題なさそうでしたら一週間後引き離して産卵セットしてください。本気で♀をかみ殺しそうだった場合は強制交尾となります。方法は丸い容器(バケツ等)に♀が潜って逃げれ無い様マットを3cmくらい硬く詰めます。♂を先にいれ2‐3時間後♀を♂の腹の下あたりにそっと入れます。♂はすぐに交尾行動に入ります。交尾の際、生殖器が合っているか(ちゃんと交尾しているか)よく観察してください。ちゃんと交尾していない場合があり、もし、不安でしたら数回繰り返すことをお勧めします。

 産卵セットは特大ケース、もしくは衣装ケースにマットを3cmくらい堅く詰めます(そう、♀にしたら産卵木ぐらいのイメージでぎゅうぎゅうに)。その上によく加水した産卵木を3−4本くらい入れ最後にマットをかぶせてセット完了です。選別する産卵木は霊糸材、カワラ材がお勧めです。シイタケほだ木の場合、太めのやわらかめのナラ材がよいと思います。セットしてから3‐4週間ぐらい経つとケースの底に卵、幼虫が確認できます。遅くともセットしてから1ヶ月くらいで♀を取り出し、更に一ヶ月くらいそのままおいてから(卵が孵ってから)割り出ししてください。そのほうが楽です。取り出した♀は再セットするか休ますかしてください。♀を一ヶ月くらいで取り出さず入れたままですと。卵を潰したり、幼虫を殺してしまうことがあります。

  私が今まで経験してきたなかでの推奨飼育方法です。相手は生き物ですので、ほったらかしでも大型の成虫が羽化することがあるでしょうし、細心の注意を払っていても☆になってしまうこともあります。自分なりに色々と研究して試してみるのも良いかと思います。